(LE-8600X/LE-8500Xシリーズ用)
SB-C2AN
特徴
●1枚でCANアナライザーと利用頻度が高いアナログ計測器として利用可能
●最大5MbpsのCAN FDに対応
●2系統の通信ラインを同時にリアルタイムモニター
●IDフィルタやトリガー機能により特定フレームを確実にキャッチ
●CAN FDとCANの通信フレームを混在可能な周期転送シミュレーション
●最大100Mサンプル/秒の高速アナログ波形測定
●付属のアナログ計測ポッドで電圧8ch を通信データと共に長時間記録
●アナログ計測値と同時にグラフ描画も可能なCAN翻訳機能
●オプションで高精度アナログ計測や温度計測にも対応
●サブメータ級測位補強サービス対応のGPS位置情報記録
簡単なセットアップ
ファームウェアがプレインストールされており、インターフェース基板を交換するだけで車載通信/アナログ計測対応のスタンドアロン型アナライザーとして利用できます。
CAN、アナログ信号、GPSデータの同時測定、リアルタイム表示
2チャンネルのCAN/CANFDの通信データ、最大8点のアナログ信号、GPS測位データをタイムスタンプ付きで連続測定記録、リアルタイム表示が可能です。
アナログ信号は、拡張アナログ計測ポートに接続したアナログポッド経由または高速アナログ測定ポートから入力することができます。
CAN (CAN FD) 計測ポートのピン配列
Dsub9ピンコネクタピン番号 | 信号 | 意味 |
---|---|---|
1 | CAN2 Low | CAN/CANFD Ch2バス信号 (ロー) |
2 | CAN1 Low | CAN/CANFD Ch1バス信号 (ロー) |
3 | GND | シグナルグランド |
4 | - | |
5 | - | |
6 | GND | シグナルグランド |
7 | CAN1 High | CAN/CANFD Ch1バス信号 (ハイ) |
8 | CAN2 High | CAN/CANFD Ch2バス信号 (ハイ) |
9 | - |
外部トリガー/拡張アナログ計測ポート(ピンヘッダ 10ピン 2.54mmピッチ)
付属のアナログポッドOP-8AH、オプションのアナログポッドOP-8ATを接続するコネクタです。TRG.IN端子、TRG.OUT端子を利用して、外部トリガーの入出力にも利用できます。
接続方法
付属のケーブルを使用してアナライザーの計測ポートを計測対象の回線に接続します。
オプションの OBD2-DSUB9ケーブル を使えば、Ch1を自動車のOBD2コネクタに簡単に接続できます。
最大5MbpsのCAN FDに対応
通信速度20kbps~5MbpsのCAN/CAN FDの通信フレームを分解能1µ秒のタイムスタンプと共にキャプチャメモリーに記録しながらオンラインモニターが可能です。通信データは計測FPGAで取得されるため、ACKエラーのフレームが表示できないCANコントローラICを利用したCANモニターとは異なり、全ての通信フレームを正確にキャプチャして表示します。
<CAN/CAN FD通信条件設定画面例>
<CAN/CAN FDモニター画面例>
タイムスタンプやチャンネル、ID、通信フレーム種類、データ長(DLC)、通信フレーム状態(St)、データ(16進数表示)、CRC値(FC)を確認することができます。
フレーム種類 (Type) の表示
Data | データフレーム | Remote | リモートフレーム | Error | エラーフレーム | FData | BRS=0, ESI=0 のCAN FDフレーム | FData! | BRS=0, ESI=1 のCAN FDフレーム | FData* | BRS=1, ESI=0 のCAN FDフレーム | FData*! | BRS=1, ESI=1 のCAN FDフレーム |
フレーム状態 (St) の表示
G | 正常なフレーム |
A | ACKエラー |
F | フォームエラー |
C | CRCエラー |
E | エラーフレーム |
IDフィルタやトリガー機能により特定フレームをキャッチ
IDフィルタで着目するデータのみを記録
たくさんのノードが接続された回線上には多くのIDのデータが流れます。IDフィルタを設定して、調査対象の通信ノードのIDを絞り込めば、解析効率が格段にアップします。
トリガー機能
ある条件と条件成立後の計測動作を8組まで指定して計測が可能。特定のデータフレームを受信したときに計測を自動停止したり、あるトリガー条件の成立で別のトリガー条件を有効にするシーケンシャルトリガーとして利用したりでき、間欠的な障害解析に威力を発揮します。
<トリガーサマリー画面>
通信エラー発生、特定データ受信、リモートフレーム受信、タイマー/カウンタ値の一致、外部トリガー入力をトリガー要因として指定できます。
トリガーが成立した時の動作としては、ブザー鳴動、測定停止、トリガー前後のデータ保存、タイマー/カウンタ動作、指定トリガーの有効化/無効化、CANフレーム送信、外部トリガー出力などが指定できます。
開発初期の通信相手に最適なシミュレーション機能
開発初期段階で相手機器が用意されていない時などに、本機がテスト対象機器の通信相手となってCAN/CAN FD のテストフレームを送信することができます。
CAN FDとCANの通信フレームを混在できる周期転送シミュレーション
16種類のメインデータテーブルは本体の[0]-[F] キーに対応しており、ワンタッチでテストフレームを送信できます。事前登録された標準フォーマットや拡張フォーマットのデータフレームおよびリモートフレームがそれぞれ任意の周期で同時に送信できます。
<メインテーブルサマリー表示>
<メインテーブル編集画面>
通信データの一部を任意の変化率で自動的に変化させるスイープ機能
通信データの一部を任意の変化率で自動的に変化させるスイープ指定が可能。通信データの変化に対してテスト対象アクチュエータの挙動がどのように変化したか確認する時に役立ちます。
<スイープ設定画面>
サブテーブルを活用した計272種類のテストフレーム送信
各メインデータテーブルにはそれぞれ16個のサブテーブルがあり、1回のキー操作で、グループによる送信が可能です。サブテーブルにはメインテーブルと同じ設定の他に送信のON/OFF設定と「遅延時間(Delay)」の設定が追加されており、設定により下記のような周期的な送信が可能となります。
最大100Mサンプル/秒の高速アナログ波形測定
2チャンネルの最大100Mサンプル/秒、±24Vに対応するアナログ電圧波形測定機能によって重たい汎用計測器を持ち出すことなく、出先でも手軽に詳細な波形観測ができます。
<高速アナログ信号の接続イメージ>
電圧の立上がり/立下りエッジのほか、CAN 通信測定のトリガーによっても波形を取得可能。稀な問題発生時の原因究明に役立ちます。また、内部でCAN通信測定ポート(Ch1) の差動通信線に切替接続でき、プローブ用に線を引き出す必要なくCAN (CAN FD) 通信信号を詳細に観測できます。ハード的な問題点の究明だけでなく、データ通信関係の教育用途にも最適です。
アナログ電圧を通信データと共に長時間記録するアナログ計測(ロガー)機能
付属測定ポッドで8ch 電圧ロガーに
ボード単体でもBNCアナログ測定ポートの2ch 入力がアナログ計測に利用可能ですが、拡張ポッド用コネクタに付属のアナログ測定ポッドを接続することで、アナログ計測機能がさらに強化され8ch 電圧ロガーとして使用できます。
<高速アナログ信号の接続イメージ>
拡張ポッド用コネクタ EXT.(to POD) にケーブルとOP-8AHを接続します。
OP-8AH に最大8ch のアナログ信号を入力します。GND は共通です。
測定レンジは最大+-60V、測定周期は最速62.5µ秒(16kSPS) まで設定可能。測定値はリアルタイムにグラフ表示されます。
<OP-8AH 測定設定画面>
<[OP-8AH グラフ表示>
オプション測定ポッドでさらに拡張可能
オプションの OP-8AT は比較的低速な対象の高精度測定に特化。グランド電位の異なるアナログ信号を高精度に測定でき、熱電対温度測定にも対応しています。
<アナログ測定ポッド OP-8AT (オプション) の接続イメージ>
アナログ計測値と同時にグラフ描画も可能なCAN翻訳機能
CAN 翻訳定義の記述に広く使われているDBCファイル (.dbc) を読みこみ、CAN / CAN FD フレーム内に含まれる
物理量等の情報を翻訳表示できます。
また、翻訳値はリアルタイムにグラフ表示が可能です。 通常のアナログ計測グラフ表示 (BNCアナログ測定ポート / 測定ポッドOP-8AH / 測定ポッド OP-8ATのいずれか) と組み合わせて最大8シグナルまで、同時に描画することができます。
<翻訳表示例>
<アナログ値・翻訳値 混在グラフ表示例>
CAN / CAN FD フレーム内に含まれる物理量と電圧、電流、温度 などのアナログ計測値を本体ディスプレイでリアルタイムに確認・比較できるため、車載テスト等に最適です。
通信障害の発生時点までロールバック可能な長時間記録
CAN/CAN FD通信の測定データおよびアナログ計測(ロガー)機能のデータは本体内蔵の1Gバイト大容量キャプチャメモリーに記録。エンドレスに記録可能なリングバッファモードとメモリーフルで自動停止する固定バッファモードを選択可能です。また、大容量の外部スレージデバイスにモニター中のキャプチャメモリーの内容を指定ファイルサイズ単位で連続保存できるオートセーブ機能を利用すれば、稀にしか発生しない原因不明の通信障害の解明に役立ちます。
連続記録時間の目安※1 | ||
---|---|---|
本体メモリーのみ | 64GバイトUSBメモリー※2※3 | 500GB SSD※2※3 |
約1時間 | 約70時間 | 約23日間 |
CAN FD通信データ : Ch1、Ch2 それぞれ各1ms ごとに64バイトのフレームを観測
アナログ測定データ : OP-8AH を使用しアナログ電圧8ch を1ms 周期で記録
全てのUSBメモリー、USB接続SSDの動作を保証するものではありません。
サブメータ級測位補強サービス対応の位置情報記録
オプションのGPSアンテナを接続することで、位置情報も記録可能。CAN (CAN FD)通信データやアナログ測定データと共に長時間記録できるので走行テスト等に役立ちます。
マルチGNSS (GPS, QZSS, GLONASS, Galileo, BeiDou) 対応。みちびき(準天頂衛星システム/QZSS)のサブメータ級測位補強サービス(SLAS)に対応しており、高精度な測位が可能です。
記録時刻における本機のタイムスタンプ(通信データ等との比較用)、UTC時刻、受信状態、測位使用衛星数、緯度、経度、水平推定誤差、海抜高度 の推移を測定画面にリアルタイム表示します。
受信状態 (St) の表示
G | 有効な測位データ |
S | 有効な測位データ、SLAS又はSBAS補正有効 |
T | 時刻のみ有効なデータ |
I | 有効なデータなし |
GNSS(PPS)信号による時刻同期が可能なタイムスタンプ
GPSアンテナが接続された本機から時刻同期用のPPS信号を出力できるため、2台目のアナライザーと別売のSMA同軸ケーブルで接続すれば、タイムスタンプの同期がとれた2台同時測定が可能になります。2台目には別種の計測ボードも使用可能、例えば車載LAN通信に対応したLE-8500X-SE との同期計測などが可能です。
[ GPS接続イメージ ]
[ PPS信号による2台同時測定イメージ ]
スナップショットやテキスト/CSV形式で計測レポートを保存、印刷
[SHIFT]+[ESC]のキー操作で、計測結果や設定条件の画面表示イメージをスクリーンショットしてPNGファイルで保存可能。また、本機上で測定データをテキストファイルに変換してストレージデバイスに保存できるので、テスト結果のレポート作成に役立ちます。アナログ測定データはCSV形式での保存も可能です。GNSS 測位データはKML形式での保存にも対応しています。また、専用プリンターを接続すれば、測定データの指定範囲の連続プリントアウトや画面表示イメージのハードコピー印字も可能なため、現場での記録メモとして活用できます。