CAN/CAN FD/LIN通信アナライザー
データロガー

LE-270GF

PC接続でリアルタイムの通信解析も可能
SDカード対応の通信データロガー

CAN/CAN FD/LIN/アナログ信号/GPS 同時計測対応
シミュレーション機能、Wi-Fi接続対応モデル

概要
詳細
スペック
オプション
ダウンロード

※1   別売りDINレール取付プレート(LE-DIN13)を固定するネジ穴です。穴ピッチ70mm、ネジ深さ3.5mm max
※2   アクティブGPS アンテナ接続用SMA (メス) コネクタ

■2色発光LED

各LED の点灯は以下の状態を表します。

POWER/ERROR 電源や本機の動作状態を表示
RUN/ACT 測定中やSDカードアクセス中などを示す
CH1/CH2 CH1ライン、CH2ラインの論理状態を表示
U1/U2 トリガーのアクションでU1(緑)、U2(赤)を点灯
WiFi/GPS 無線LAN接続、GPS電波受信を表示
Wi-Fi機能を利用できるのは日本、アメリカ、カナダ、RE 指令(2014/53/EU) 適合を条件に利用可能となるEU 加盟国のみです。

■計測コネクタ(DSUB25pin)の信号定義

Pin 信号 Pin 信号
1 BATTERY 14 トリガー入力
2 - 15 CAN1 High
3 - 16 CAN1 Low
4 GND 17 トリガー出力2
5 - 18 トリガー出力1
6 - 19 CAN2 High
7 GND 20 -
8 - 21 CAN2 Low
9 外部信号入力1 22 GND
10 外部信号入力2 23 LIN1
11 外部信号入力3 24 LIN2
12 外部信号入力4 25 -
13 - - -

1pin(BATTERY)からロガーモード時の電源を本体に供給可能です。(1pinからの給電は電源シャットダウン時でも約30mAを消費します。消費電流を抑えたい場合はDCジャックから給電してください)

利用状況に応じた2ウェイ動作

■シンプル操作のデータロガーモード

測定データのSDカードへのロギング開始は、パネルのスイッチを押すだけの簡単操作。 測定条件は事前にSDカードの設定ファイルに入れておけるので、現場での難しい設定作業は不要です。測定したログファイルはSDカード渡でパソコンに転送して解析できます。

こんな現場に最適です。

  • PCの持ち込み禁止
  • 粉塵でPCが使えない
  • 1ヶ月以上の連続測定のためPCの動作が不安
  • 作業者の誤操作が心配
  • 設置場所が少ない

<ロガーモード>

■リアルタイムモニター表示が可能なリモートモード

USBでパソコンと接続すれば、測定条件の設定変更や測定データのリアルタイム表示、HDDへの連続記録などがパソコン上で行なえるPC接続型アナライザーとして動作します。ロガーモードで取得した通信ログファイルの表示やロガーモード用の測定条件ファイルの作成も可能です。

<リモートモード>

1つのPCリンクソフトで複数のアナライザーを制御

リモートモードは、複数のアナライザーを同時にコントロールして、アナライザーを接続した複数地点の通信データの解析が可能。各アナライザー分の測定ウィンドウを1台のパソコンの画面に表示して通信状況を確認できます。

CAN/CAN FD/LIN/GPS測位データ/加速度データ/アナログ信号を同時計測

2チャンネルの CAN/CAN FD/LIN 通信ラインと、GPS測位データ、加速度データ及び4本の外部信号の状態(アナログ電圧値/デジタル論理)を同時に計測することができます。
各通信モニター回路には、CAN/CAN FD と、LINトランシーバを装備しており、テスト状況に応じて、各トランシーバを選択可能。また、通信データと外部信号のアナログ値を周期で計測しできるアナログ波形表示が用意されています。

<3軸の加速度センサーを内蔵>
<別売りのGPSアクティブアンテナを接続>

■オンラインモード

CAN/CAN FD/LINの通信データを記録すると同時に、その時点でのGPS測位データ、加速度データ、外部信号の状態が記録されます。 通信フレーム受信時間(タイムスタンプ)、LINのSynchBreak幅のビット数、LINのSynchField値、ID、フレームタイプ、状態、データ、CRC/チェックサム、外部信号、トリガーマークなどを表示することができます。

データモニター(通常表示)

PCソフトLE-LINK27Fから測定開始するとCAN/CAN FD/LINのフレームがリアルタイムに表示され、表示の一時停止などもできます

<データモニター画面例>

St 意味
G 正常なフレーム
B LIN通信のSyncBreakエラー(ドミナントが10ビット)
S LIN通信のSyncFieldエラー(0x55以外の時)
P LIN通信のパリティエラー
L LIN通信のデータ長エラー(フレームエンドの設定が「ID」のとき)
R LIN通信のレスポンスのデータが1バイトもないとき
C CAN/CAN FD通信のCRCエラー/LIN通信のチェックサムエラー
A CAN/CAN FD通信のACKエラー
E CAN/CAN FD通信のエラーフレーム
F CAN/CAN FD通信のフォームラー(CRCまたはACKデリミタが「0」のとき)

測定終了後、データモニター画面にてデータ検索を行い詳細にデータを解析できます。

<検索設定例>

指定した条件に合う測定データを検索頭出し表示や計数が可能です。
画面例では、ブレークのドミナント期間が10ビットのLINフレームとパリティエラーのLINフレームのどちらを検索して頭だし表示します。

CAN/CAN FDとLINの各種エラーを確実にキャッチして、St欄で確認する事が出来ます。

<データモニター画面(エラー検出)例>

収集固定表示

測定中は、着目したいIDの通信フレームをどの行に表示するかを設定し、収集固定表示によってリアルタイムにデータを確認できます。

<収集固定表示ID設定例>

また、オートにチェックすると、回線上を流れるフレームをアナライザが観測したID順に自動的に収集表示できるので、IDが不明の場合に役立ちます。

<収集固定表示例>

タイマー/カウンター

タイマー/カウンター画面でCAN/LINの総受信フレーム数や特定事象の発生回数や間隔などを確認することができます。

汎用タイマー0~3、汎用カウンター0~3はトリガー機能と利用して制御します。

(汎用タイマー利用例)
外部信号の変化から特定データが受信されるまでの時間など、特定事象から次の事象までの経過時間の測定

(汎用カウンター利用例)
CANのCRCエラーなど特定事象の発生回数のカウント

<タイマー/カウンター画面例>

■ワイドレンジアナログ測定

±16Vまたは0~32Vの4点の外部アナログ信号の状態を指定したサンプリング周期で測定してアナログ波形表示ができ、4点入力のアナログデータロガーのように利用することができます。

<アナログモード設定例>

<アナログ波形表示画面例>

表示レンジ切り替え(±1V、±2V、±5V、±10V、±16V)や信号毎の表示/非表示が可能です。

<データモニター画面例>

アナログ電圧サンプリング時に、前回のサンプリング以降に受信した最新の通信データも同時に記録されるので、外部信号の変化に対する通信データの関連も調べることができます。

<表計算ソフトでの利用例>

アナログ測定モードのデータもテキスト/CSVファイルに変換できます。

通信ログを長時間連続記録

通信ログファイルは、指定したファイルサイズとファイル数で構成されるリングバッファとしてエンドレスに記録されます。もちろん、指定ファイル数を記録した時点で測定を停止することも可能です。稀にしか発生しない原因不明の通信障害の解明に役立ちます。

[ 指定容量1.8Gバイト(4Mバイト×450ファイル)での記録時間の目安 ]

・125kbpsで CANの1フレーム(8バイト)が1m秒間隔で伝送される場合
  約15時間40分
・1Mbpsで CAN-FDの1フレーム(64バイト)が0.1m秒間隔で伝送される場合
  約30分

::1フレームのデータ数によって、以下の記録エリアを消費します。
  8バイト以下の通信フレーム:32バイト
  9~36バイトの通信フレーム:64バイト
  37~64バイトの通信フレーム:96バイト

<バッファ設定例(リモートモード)>

<バッファ設定例(ロガーモード)>

任意の通信速度で計測テストが可能

CANとLINの一般的な通信速度がプリセットされており、それ以外の速度でも任意の速度を自由に設定可能。CANはビットサンプリングタイミングの微調整も可能です。

<LIN設定例>

LINの通信速度は2400bps, 9600bps, 19200bps または有効数字4桁で最高26Kbpsまでの任意の速度を設定できます。

<CAN設定例>

CANおよびCAN FDの通信速度(125K~1000K)を選択、または直接入力できます。 また、CAN FDのデータフェーズ通信速度(1000K~5000K)を選択、または直接入力できます。

[ CANのビットサンプリングポイント ]
アナライザーは1ビットのサンプリング位置を60% ~ 90%位置で指定する事ができます。

LINフレームを簡単指定

測定対象のLINの仕様が事前に判っている時は、ID毎のフレーム長やチェックサムタイプを指定した正確な測定が可能。もし、判らない時でも、指定時間でフレームを区切ることができ、すぐに測定を開始できます。

<ID毎のフレーム設定例>

<フレーム終了とみなすデータ間隔時間の設定例>

効率的な解析が可能なフィルタ機能

対象IDをビット単位で指定するアクセプタンスフィルタに加え、それぞれ最大8個まで指定可能なパスフィルタ(指定IDを測定対象にする)とカットフィルタ(指定IDを測定対象から外す)を組み合わせて、目的とするノードIDだけをより選択的にモニターすることができます。

<フィルタ設定例>

アクセプタンス、パス、カット、アクセプタンス&パス&カットなどの条件を選択できます。


画面例では、アクセプタンスフィルタを通過したIDは、さらにパスフィルタ、カットフィルタの順に絞り込まれ、 ID:101、102、103、104、および184~18F、1F4~1FFがモニターされます。

特定条件を検出できるトリガー機能

強力なトリガー機能により、エラー発生時や特定データ受信時に、測定を自動停止できるだけでなく、トリガー条件一致回数の計数や外部トリガー信号出力、パネルLEDの点灯によるエラー通知などが可能です。

チェックマーク付きのトリガー番号が有効です。チェックマークはトリガー動作でon/offできます。

チャンネル1に、14h, F0h, W0 (最下位ビット0のデータ), *(任意のデータ)のデータを受信したら、U1 LED を点灯します。

チェックサムエラーのフレームを受信したら、カウンター0をプラス1します。

省電力測定が可能なスケジュール計測

バッテリーでバックアップされたリアルタイムクロック(RTC)を内蔵しており、指定時間に自動的に本機を起動して計測を開始し、指定時間までの計測を終了すると自動的にシャットダウンが可能。また、テスト対象機器と本機への電源供給を連動すれば、電源がオンで自動的に測定を始め、電源オフで測定を終了させるような使い方もでき、車載バッテリーの電力を無駄に消費しません。

<自動RUN/STOP設定画面>

応用例1

工場の設備が稼動する午前9時から午後5時30分の期間だけ、この設備の通信データを測定する使用例

<応用例1の設定>

保存モード 追記
最大ファイル数 450
ファイルサイズ 4M
モード 日次
測定開始時刻 9:00
測定終了時刻 17:30
電源投入で測定開始 チェックなし

この設定では、毎日8:59にRUN LEDがゆっくり点滅して測定開始を予告します。その後、9:00から測定が始まり、通信ログデータは、4Mバイトのログファイル、450個分のリングバッファとしてエンドレスにSDカードに記録されていきます。17:30になると自動的に測定が終了し、直ちに内部電源をオフにして省電力状態で翌日の開始時刻まで待機します。

   9:01から17:30に、アナライザーを設置し電源を投入した場合は、アナライザーはすぐ省電力待機状態になり、その翌日からの測定になります。設置した日から測定を始めたいときは、「電源投入で測定開始」をチェックした設定ファイルを使用します。
   測定期間中にトリガー機能の測定停止条件が成立したときなども、測定を停止して翌日の開始時刻まで省電力待機状態になります。
応用例2

朝から晩までの不規則な時間に電源が供給されている制御装置があり、給電期間中にその装置が他の機器と通信するデータを記録する例

<応用例2の設定>

保存モード 追記
最大ファイル数 500
ファイルサイズ 1M
モード 日次
測定開始時刻 なし
測定終了時刻 なし
電源投入で測定開始 チェック
セーフティスタート
(キャパシター充電後)

この例では、アナライザーの電源を測定対象の制御装置と同じ電源からとる必要があります。朝、給電が始まると、アナライザー内の瞬時停電保護用スーパーキャパシタが充電されるまで約40秒間RUN LEDがゆっくり点滅した後、自動的に測定が始まります。通信ログは、SDカードに1Mバイトのログファイル、500個分のリングバッファ動作でエンドレスに記録されます。アナライザーへの給電が約1秒以上遮断されたとき、アナライザーは記録中のログファイルをSDカードに安全に保存した後、測定動作を停止します。

   給電直後から通信データが流れるために、すぐに測定を始める必要があるときは、クイックスタートを選択します。但し、給電開始直後に停電した場合、SDカードのファイルが破損する可能性があります。

大容量のデータを効率的に解析

複数の通信ログファイルを指定し、一括でテキスト形式やCSV形式に変換することもできますので、ワープロや表計算ソフトで通信データを活用できます。

<テキスト変換>

[テキスト変換データ例]


<CSV変換データの利用例>

CAN/LINデータを繰り返し送信できるマニュアルシミュレーション機能を搭載

■CAN/CAN FDの場合

データテーブルに事前登録されたCAN/CAN FDの標準フォーマットや拡張フォーマットのデータフレームおよびCANのリモートフレームをワンタッチで送信。フレーム内の一部データをスイープデータとして指定でき、スイープデータを初期値から第3目標値まで指定時間で順次変化させながら送信することができます。この機能は、CANやデバイスネットの機器が通信データの変化に対して、どのように動作するかを確認するときに大変役立ちます。

■LINの場合

本機がLINのマスターまたはスレーブをシミュレーションできます。
送信するヘッダとレスポンスをそれぞれ16種類まで事前登録可能。レスポンススペース(ヘッダー部とレスポンス部の間隔)とバイトスペース(レスポンスデータの間隔)を0~99ビット分の範囲で設定できます。
マスターモードの時は、スケジュールテーブルに設定した順にデータテーブルの内容を繰り返し送信したり、キー操作でスケジュール番号を指定して送信したりすることが可能。スケジュール番号毎にParity エラー、BREAKフィールドのビット数(未指定時は13ビット)、およびSYNCフィールド異常データ(未指定時は正常な55h)を設定できるので、通信異常発生時の動作テストを簡単に実現できます。スレーブモードの時は、マスターから要求と一致するIDが設定されたデータテーブルの内容を送信します。また、シミュレーション中にはWakeUP信号(80h)をいつでも送信可能です。

利用シーンを拡げる安心設計

■突然の停電からSDカードをガード

スーパーキャパシタを効果的に利用した新開発の瞬時停電時最適バックアップ制御方式により、SDカードへのデータ記録中に停電になってもSDカードの破損を防ぎ、SDカード内の貴重な通信ログファイルを守ります。電力供給が不安定になることが多い車載テストでも安心して連続計測ロギングすることができます。

■ワイド入力DC電源に対応

DC9VからDC34Vまでの電源に対応。別売りACアダプタからの給電だけでなく、車載バッテリーからも安心して給電できます。また、電源が取りにくい現場用に、スマホ用の市販モバイルバッテリーが利用できる昇圧アダプタもオプション品として用意されています。

[モバイルバッテリー使用例]

別売りLE-BA09と市販バッテリーを利用しています。

■過酷な車載テストに適合できる堅牢な小型筐体

-20~+55℃で利用可能な手のひらサイズの本体は、車両の狭い実験スペースにも設置可能。DC12V電源入力時の消費電流は約200mAと低電力設計です。SDカードスロットとUSBコネクタには2ウェイ動作に配慮した防塵カバーを装備。35mmDINレールへの取り付けにも対応できるので、調査対象設備への固定や検査ラインへの組み込みも簡単です。

<防塵キャップを装備>

<DINレール取付例>

■ロガー動作を止めずにログファイルをWi-Fiで読み出し

LE-270GFとパソコンをWi-Fi接続することで、ロガーモードの測定を止めずにSDカードに記録されたログファイルを確認することができます。付属のユーティリティソフトを使ってログファイルをリストアップし、指定したファイルをダウンロードすることが可能です。

<LEデータファイルダウンローダー表示画面例>

■日本語と英語を自動切換え

日本語Windows®上では日本語表示、英語版Windows®上では英語表示に自動的に切り替わりますので、海外の開発拠点にも安心して導入いただけます。