2019年 8月29日
インターネット経由で接点を監視制御
弊社のLAN接続型IOユニット LANIOシリーズはLAN経由で接点信号やアナログ信号の監視制御が可能です。このシリーズをインターネット経由で使いたいというご要望をよくお聞きしますので、今回は設定例をご紹介いたします。
■動作確認用ソフトウェアはLA-PC20を使用
LANIOにはLA-PC10という制御ソフトが標準で付属しています。しかし、残念ながらこのソフトをインターネット経由で使用することはできません。このソフトの動作にはUDP通信を使ってLANIOに搭載されているLANデバイスの情報を取得する手順があるのですが、UDP通信はプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを変換するNAT(IPアドレス変換)をうまく行なえないためです。アナログ信号対応のソフトLA-PC10AおよびLANIOシリーズ用のライブラリにも同様の制約があります。
そこで、弊社ではLA-PC20という新しいソフトを開発しました。LA-PC20にはUDP通信を行なう手順がなく、TCP通信のみを行います。ルーターを適切に設定することができれば、インターネット経由でLANIOを制御することができます。
もちろん、ルーターを適切に設定することができれば、お客様が作られたソフトでTCP通信を行うことによってもインターネット経由での制御は可能です。
■インターネット経由での接続構成と設定例
インターネット経由でLANIOを制御する場合は、以下のようにルーターを越えて、PCの制御ソフトとLANIOがTCP接続して通信を行います。(IPアドレスやポート番号はすべて例です)
この例では、以下のような設定と手順で接続が行なわれます。
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事業所AのPCで動いている制御ソフトLA-PC20は、事業所BのグローバルIPアドレス「xx.xx.xx.xx」、ポート番号「10023」にパケットを送って接続しようとします。
<LA-PC20 制御対象ユニットの設定画面>
- この接続先は事業所Aのネットワーク内には存在しないため、デフォルトゲートウェイの192.168.0.1、つまりルーターに向かい、そこから外に出てインターネットを通って事業所Bに届きます。
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事業所Bに届いたパケットは、まず事業所Bのルーターに入ります。そして、ルーターにあらかじめ設定しておいたルールにしたがって、事業所Bのネットワーク内の指定の転送先に届けられます。
<事業所Bのルーターの設定例>
ポートフォワードやIPマスカレードと呼ばれる設定を行なっておく必要があります。(ルーターによって設定画面、設定可能な内容は異なります)
この例では、外部からポート10023宛に届いたTCPパケットを、事業所Bのネットワーク内の「192.168.1.91:10003」に転送します。つまり、事業所BにあるLANIOに転送します。 - 以上の経路でTCP接続が確立すると、事業所AのPCの制御ソフトと事業所BのLANIOの間でソケット通信が可能になります。つまり、事業所Aから事業所BのLANIOを制御できるようになります。
■まとめ
以上のように、新しい制御ソフト LA-PC20を使い、ルーターの設定ができれば、インターネット経由でLANIOを使うことはそれほど難しくはありません。リモート監視制御システムの構築などでお役立ていただければ幸いです。