Usage Tips / 製品活用ガイド
ラインアイのインターフェースコンバータ SI-60Wi は、シリアル通信で動く産業用機器などを無線LANネットワークに接続するための無線LAN⇔RS-232C変換器です。シリアル接続のバーコードリーダーと組み合わせて使用されているお客様もいらっしゃるようです。この SI-60Wi には、2台のSI-60Wiが無線LANで直接接続するアドホックモードという動作モードがあります。
[ アドホックモード利用のケーブル無線化例 ]
RS-232C通信の最大ケーブル長は約15mですが、上の図のようにSI-60Wiのアドホックモードを使うと、RS-232C機器の間を無線LANで中継して距離を伸ばすことができます。では、実際にどのくらい距離を伸ばすことができるのでしょうか?
公開している SI-60Wi の仕様には「電波範囲:最大約100 m (屋内環境)」、「周囲の電波環境によって電波の到達距離は大きく変化します」と記載しています。この「周囲の電波環境によって」というのが難しいところですが、今回は一例としてラインアイ本社前の屋外(市街地)で、実験をしてみました。
以上のセットを2組用意しました。
今回は外に出て実験を行なうため、使用する機器の電源をなんとかしなければなりません。アナライザー LE-8200 は内蔵のNi-MHバッテリーで駆動するため問題ないのですが、インターフェースコンバータ SI-60Wi にも電源が必要です。そのため、モバイルバッテリー昇圧アダプタを使うことにしました。DC5V出力のモバイルバッテリーを昇圧して、SI-60Wi のDCジャックに直接給電することができます。
上の写真のように2つのセットを用意し、両方のSI-60Wiをアドホックモードに設定して、お互いに無線LANで通信するようにします。2台のSI-60WiのRS-232C側にはそれぞれプロトコルアナライザー LE-8200 を接続します。LE-8200は、シミュレーション機能を使ってプリセットされている定型のメッセージを繰り返し送信します。1台のLE-8200がDTE、もう1台がDCEとしてRS-232Cのデータを送信しますので、SI-60Wiの無線を経由して、お互いに相手のデータを受信します。
この状態で、2つのセットの間の距離を広げていき、どこまで離れたら通信をできなくなるか(受信データがなくなるか)を確認します。
[LE-8200](DTE)--<RS-232C>--[SI-60Wi] - - <無線LAN> - - [SI-60Wi]--<RS-232C>--(DCE)[LE-8200]
送受信データ:
RS-232C
通信速度 9600bps
データ長:8bit
パリティ なし
ストップビット 1bit
フロー制御 なし
定型メッセージを双方から200m秒間隔で繰り返し送信
SI-60Wiの無線LANはアドホックモードの時、IEEE802.11b (11Mbps)となります。
ラインアイ本社前の歩道に1セットを置き、もう1セットを持って歩きながら少しずつ離れて行ったところ、約110m離れたところで通信ができなくなりました。今回実験した環境においては、仕様として公開している100mまでで、見通しがよければ、市街地の屋外であっても問題なく通信できるようでした。