Usage Tips / 製品活用ガイド

■ RS-232C×2点をLAN経由でそれぞれ異なる2地点へ延長

2017年3月31日

RS-232Cの通信を既存のLAN(Ethernet)回線によって延長できるか?とのお問い合わせを度々いただきます。弊社製品のSIシリーズを利用すればこうした使い方も可能で、実際に運用されているお客様も多くおられます。

 

 

上記のようにSIシリーズの機器を1対1(1地点⇔1地点)で接続する場合は製品の取扱説明書にもその設定方法についての記載はあります。それではRS-232C機器が同じ地点に2台あり、それを別の2地点に分けて延長したい場合はどうするか?というケースについて考えてみます。実はこのような場合、SI-60やSI-60Fの対向セットを2セット用意しなくても、RS-232Cが2ポートあるSI-60Xを片側に1台、もう片側にSI-60Fを2台使用すれば、対応が可能です。
SI-60X はRS-232C機器を2台接続可能で、LANで延長した先に2台のSI-60Fを接続先として使用することができます。以下はその使用方法・設定の一例です。

 

[SI-60X]

 

まず使用する機器にIPアドレスを設定します。今回はローカルネットワークを想定してSI-60Xに192.168.0.3、それと対向で接続する2台のSI-60Fにそれぞれ192.168.0.1(SI-60F①)と192.168.0.2(SI-60F②)を設定しました。(IPアドレス設定方法の詳細については取扱説明書を参照)

IPアドレス設定後、各機器を接続します。
(今回、弊社のプロトコルアナライザーLE-8200などをRS-232C機器に見立てています。LE-8200などのシミュレーション機能を用いることでRS-232Cの調歩同期の通信の送受信を行うことができます。)

 

 

続いて、対向接続のためのSI-60XとSI-60Fの設定を行います。設定はDevice Installerというソフトを用いてPCからLAN経由で行います。Device Installerを立ち上げ、そこからウェブマネージャーを起動して設定を行います。

 

まずSI-60Xから設定します。対向接続のための設定はウェブマネージャーのConnectionの項目で行います。(通信設定にはSerial Settingsの項目も設定が必要ですが、これはSI-60FやSI-60Xと接続されたRS-232C機器との通信条件を設定するもので、ここでは詳細は省きます。)

 

 

SI-60XはRS-232Cポートが二つあり、Ethernetの接続についてもそれぞれに別のポート番号を割り当てることができます。Channel 1 でRS-232Cのポート①についての設定を行います。Accept IncomingをYesに、Active ConnectをWith Any Characterに設定し(これは取扱説明書にある内容通りです)、Remote Hostには接続先とするSIのIPアドレスを入力します。SI-60Xのポート①はSI-60F①と接続するので、SI-60FのIPアドレスである192.168.0.1を設定します。Remote Portは接続先のport番号(SI-60F①のLocal Portの番号)を設定します。

 

 

次にChannel 2の設定を行います。Channel 1とほぼ同じ内容を入力しますが、Channel 2はSI-60F②に接続するため、Remote Hostには192.168.0.2(SI-60F②のIPアドレス)、Remote Portには10001(SI-60F②のポートLocal Port番号)を設定します。また、Channel 2のLocal PortはChannel 1のLocal Portとは異なる値を入力する必要があるので、Channel 2のLocal Port は10003と設定しています。

これでSI-60X側の設定は終わりです。

 

 

続いてSI-60F①の設定を行います。SI-60F①はSI-60XのRS-232Cポート①と接続するので、SI-60XのIPアドレス192.168.0.3とSI-60Xのポート①のLocal Portに割り当ててあるポート番号(10001)をそれぞれ設定します。SI-60F①の設定はこれで終わりです。

 

 

続いてSI-60F②の設定を行います。SI-60F②はSI-60XのRS-232Cポート②と接続するので、SI-60XのIPアドレス192.168.0.3とSI-60Xのポート②のLocal Portに割り当ててあるポート番号(10003)をそれぞれ設定します。SI-60F②の設定はこれで終わりです。

 

 

上記で接続設定は完了です。

実際に通信が可能か、以下の図のようにRS-232C機器から文字列を送信して、お互いに送受信ができるかを確認します。(①は③と送受信、②は④と送受信を行います。)

 

 

以下はRS-232C機器①の送受信の状態を表示したものです。SDと書いてある列(送信データの意味)に①から送信したHTの文字列が表示され、RDと書いてある列(受信データの意味)で③から送信されたBSの文字列を受信している様子が確認できます。

 

 

③側でも確認してみると、①と送信・受信が反対になったデータのやりとりが表示されており、やはり送受信が行われていることが確認できます。

 

 

②と④でも同様に送受信が行われている様子が確認できます。

②側、上段(SDの列)に②から送信しているSHの文字列、下段(RD側)に④から送信され②で受信したEXの文字列があります。

 

 

④側、上段(SDの列)に④から送信しているEXの文字列、下段(RD側)に②から送信され④で受信したSHの文字列があります。

 

 

上記の使用例では、ある地点のRS-232C×2点(今回のケースでは③④)をLAN経由で延長し、異なる2地点(今回のケースでは①②)それぞれのRS-232C機器とデータの送受信を行うことができました。こういった使用方法が求められるケースの場合、SI-60XとSI-60Fの組み合わせをご検討いただければ幸いです。

 

:制御線の情報については延長されません

 

今回使用した製品

 

・SI-60X
https://www.lineeye.co.jp/html/product_SI-60X.html
・SI-60F
https://www.lineeye.co.jp/html/product_si60f.html
・LE-8200
https://www.lineeye.co.jp/html/product_le8200.html
・LE-2500
https://www.lineeye.co.jp/html/product_le2500.html
・LE-1500
https://www.lineeye.co.jp/html/product_LE-1500.html